昭和7年に建てられたレンガ蔵は、キッコーマン上花輪プラントの一部。今も現役の工場として使われている。内部には、杉材の仕込み樽が72本並べられ、国産の丸大豆と小麦を使った醤油が造られている。レンガ蔵は仕込みの際に温度、湿度を調節するのに最適とか。杉樽の大きさは高さ2m、直径2.6mもあり、1リットルパック8300本分の醤油ができる。
水郷の表玄関・佐原(さわら)は、古くから醸造の盛んな町。明治初期には30軒もの酒造場が軒を連ねていたという。利根川水運がすたれた現在、造り酒屋は2軒を残すのみとなってしまったが、旧香取街道沿い建つ蔵元が往時の繁栄を伝える。そのなかの1軒、明治20年創業の東薫(とうくん)酒造は、水郷地帯の良質な早場米と水を用いて銘酒を醸造。酒蔵見学をした後は大吟醸「叶(かのう)」をみやげに。
黒潮と親潮がぶつかる銚子沖は、全国屈指の好漁場。紀州(きしゅう)和歌山の漁師から伝えられた漁法で、漁業が栄えた港町だが、実はしょうゆも黒潮の流れによってもたらされたもののひとつ。紀州広村(和歌山県広川町)の濱口家創始のヤマサは、1645(正保2)年に本格的なしょうゆ醸造を開始。予約で工場見学も可能で、麹室やもろみタンク、容器詰めなどの製造工程を見学後、併設の売店でしょうゆを購入できる。見学は所要約1時間。
1616(元和2)年、兵庫県西宮の酒造家に溜(たまり)しょうゆの造り方を教わったのが始まりという、歴史ある醸造所。銚子の気候と水質が、醸造の好適であったといわれ、やがて本格的なしょうゆ醸造に乗り出したという。工場では、製造工程の見学が可能で、史料館ではしょうゆ造りに使われた仕込み木桶や樽、広告など、昔の道具や容器を展示。またイタリアのフレスコ画も見られるのがユニークだ。工場見学の所要は45分〜1時間で事前の予約を。(土・日曜、祝日の問い合わせは工場へ直接TEL0479-22-5151)。創業者である田中玄蕃の夢枕に、ヒゲを蓄えた仙人が現れ、醸造に適した良質の水の湧き出る場所を示した。この仙人の「ヒゲ」と、田中家の「タ」の字を加えて「ヒゲタ」というブランドが誕生したとも、元禄の頃、創業者の田中家の屋号「入山田(いりやまた)」のマークを描いていた時、「田」の上端から墨汁が垂れてヒゲのようになり、他の端も同じようにしたらおもしろい図案になったので、以後これを印にしたともいわれている。いずれにしても、「田」にヒゲがついて「ヒゲタ」と呼ばれるようになった。

