
千畳敷と通称される信長居館跡には往時を偲ばせる石垣が残る
戦国時代、尾張・三河(現在の愛知県)からは、3人の英傑が生まれている。織田信長、豊臣秀吉、徳川家康で、当時、この2国と隣国の美濃(岐阜県)は、混乱の時代を迎えていた。『功名が辻』の主人公、山内一豊も実は、今でいう愛知県民。名古屋から少し岐阜寄りの黒田城(現・愛知県一宮市木曽川町黒田)に生まれている。父が信長と対立する岩倉織田氏(岩倉城)の配下だったために、岩倉城落城に際して、一家は離散となる。一豊は美濃や近江で仕官するが1568(永禄11)年頃、木下秀吉の配下となり(信長は永禄11年に上洛)、『天下布武』をスローガンにする信長に仕えることになる。

難攻不落の金華山山頂に建つ、岐阜城(旧稲葉山城)天守閣
信長の居館跡のある岐阜公園は、名古屋など近隣の小学生も遠足に訪れる緑豊かな都市公園。園内には「信長の庭」と名付けられた日本庭園もあるが、戦国時代をイメージしたというだけの近年の作庭。居館跡のすぐ横にある岐阜公園駅から金華山ロープウェーに乗れば3分で金華山山頂に運ばれる(12月〜3月の運転は9:00〜17:00、元旦は5:00〜17:00、往復大人1050円、小人520円)。金華山は長良川を眼下にする天然の要塞で、岐阜の市街からはまさに見上げるようにそびえ立つ。江戸時代、森林保護のために入山を禁止するという尾張藩の政策のため、自然は今も信長時代のままに残されている。

木曽川の堤上から河原へと続く石畳。ここを一豊が歩いた!
中世から近世に木曽川水運の川湊として栄えたのが笠松。江戸時代には長良川の鮎を岐阜でなれ鮨に加工し、笠松、名古屋を経て将軍家に献上したという歴史をもつ。これが鮎鮨街道といわれる道で、岐阜と笠松を結ぶこのルートが近年注目を集めつつある(この街道も『プチたび』注目の道なので、後日、詳しく特集する予定)。戦国時代、岐阜と清洲・名古屋を結ぶ最短ルートがこの街道で、笠松から舟で木曽川を渡った先が一豊の出身地黒田。この道は鎌倉街道でもあり、当然、義経(熱田神宮で元服と伝えられる)などもこの道を使って京へ上った。つまり一豊の生まれた黒田城は木曽川の水運で物資が運び込まれ、さらに鎌倉街道が通る要衝の地だったのだ。

秀吉が「どえりゃーうみゃー!」と絶賛の「笠松しこらん」
その笠松湊で和菓子屋「太田屋半右衛門」が創業したのが1562(永禄5)年のこと。東海地区で老舗の和菓子といえばかの有名な「両口屋是清」があるが、この老舗とて創業は、1634(寛永11)年と、江戸に徳川幕府が開かれてからのこと。創業440年を超える「太田屋半右衛門」は、東海一の老舗といえるのだ。
「太田屋半右衛門」の代表銘菓「笠松しこらん」は「秀吉が京に上る際、木曽川の畔で家伝の御菓子を献上したところ、秀吉公から『かたちは兜の錣(しころ=兜の鉢の左右、後方に付けて垂らし首から襟の部分を守る武具)に似て、香りは蘭の如し』と、『しこらん』という名を頂戴いたしました」(当主の話)という歴史ある菓子。笠松が天領だった江戸時代には、代官を通じ将軍家にも献上されていた。京に上る際というのがいつのことだが定かではないらしいが、1568(永禄11)年の信長上洛の際とすれば(その後、秀吉は明智光秀とともに京の政務を任される)、一豊もその場に立ち会ったこととなる。
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