昭和53年の三保ダムの完成により出現した人造湖。岩石や砂利などで地盤を固めるロックフィル式の三保ダムは、丹沢水系の豊かな水を集める神奈川県民の水がめとして重要な役割を担っている。湖畔には湖底に水没した世附地区で昭和48年頃まで使われていた江戸時代末期の民家を移転復元した「丹沢湖記念館・三保の家」、丹沢の自然と親しむことができる「丹沢湖森林館・薬草園」がある。湖上ではボート遊びも可能。
丹沢湖に流れ込む玄倉沢沿いに広がる面債162ha、標高400m〜1200mにおよぶ豊かな森。山腹から中腹までは大正時代に植えられた樹齢7O年のスギ、ヒノキのが茂り、「大正の森」と呼ばれている。また中腹から上部はブナの自然林でシロヤシオの群生もある原始境。「全国の森林浴の森百選」にも選定されている。箱根の関所の復元工事には大正の森のスギの大木46本が使用されている。
丹沢山渓の豊かな自然がたっぷりと残された河内川の渓流管理釣り場。水源はブナの茂る大室山や檜洞丸だから水質も渓流魚の棲息に最適。渓流以外にも釣り堀も用意され、こちらは釣った魚を買い取る仕組み(ニジマス1尾200円、ヤマメ・イワナ1尾350円)。夏なら川遊びも楽しいのでファミリーにも人気だ。
宮ヶ瀬湖の湖畔にある県立のビジターセンターで、丹沢山系の自然をわかりやすく解説する施設。エントランスの石畳には、丹沢で見られるキツネ、カモシカなど8種類の動物の実物大の足跡がつけられ、まずは足の大きさ比べからスタート。館内では丹沢のブナ林や、ムササビなどの動植物を詳しく解説している。2階の「バードウォッチング」コーナーでは、眼前の森のコマドリ・ホトトギスなど8種類の野鳥が観察可能。ビジターセンターを起点に、みはらしの丘往復(1時間)などの遊歩道も整備されている。
秦野市街の東側に、浅間山、権現山、弘法山と小さなピークが連なる標高200mほどの丘陵地帯の公園となっている。これが弘法山公園。秦野駅や鶴巻温泉駅を起点とすれば手頃なハイキングで到達できる。権現山と弘法山を結ぶ尾根筋は馬場道といわれるが、戦前は近在の農家がこの山上の平坦地で草競馬を楽しんだ。今は桜が植栽され、「千本桜」と呼ばれる花見の名所になっている。最高点の権現山(243m)の山頂には野鳥観察所も設けられている。
秦野盆地湧水群は、環境省選定の全国名水百選のひとつ。湧水群のなかでも、とくに有名なのが秦野駅近くにある弘法の清水。丹沢山系に降った雨は、水無川の上流部で地下浸透し、秦野盆地の地下に巨大な水瓶となって貯えられる。秦野市の今泉、平沢地区を中心に市内各地で自噴するのが秦野盆地湧水群。弘法の清水 は、弘法大師の杖を突き刺した先から湧いたという伝説の湧水。わかりづらい場所なので地元の人に確認するといいだろう。現在、生水は飲用には不適。
山にかかる雲により、地元の人が天気の予測に、海上からは位置を知る目印として使われてきた丹沢の名峰が大山(標高1252m)。信仰登山で知られ、宝暦年間(1751〜64年)の頃から明治にかけて江戸庶民の大山詣でが盛んに行なわれた。関東各地に「大山講」が誕生し、6月28日から7月17日まで登拝が許された。現在は阿夫利神社の下社までケーブルが通じ、1時間30分のハイキングで山頂に立つことができる。山頂には阿夫利神社の本社が建ち、土・日曜などのみ有人となり、授与品が購入できる。
大山ケーブルの中間駅「不動前」にある大山不動尊(雨降山大山寺)は、関東三大不動のひとつで、真言宗大覚寺派の大本山。755(天平勝宝7)年開山の古寺で、真言密教の修験道場として栄えてきた。江戸時代、「寺院法度」の発布により修行僧が下山し布教活動を行ったことから、大山詣でが広まった。春日野局は、家光が将軍になることを大山不動に祈願、念願が叶ったことでその後家光の保護を受けている。明治初年の「神仏分離令」により、下社の場所にあった大山寺は現在の位置に移転。霊力が強いとされる本尊の不動明王像と制吁迦(せいたか)童子・矜羯羅(こんから)童子は国の重要文化財。毎月8の付く日に御開帳が行なわれる。
大山詣での御師(おし)の町並みが残る追分駅と下社駅を結ぶ大山観光電鉄の運行するケーブルが大山ケーブル。大山ケーブルバス停からみやげ屋や名物の豆腐料理の店が集まる参道を15分ほど歩くと追分駅。ケーブルは20分ごとに運行され、山麓と標高700mの大山阿夫利神社下社を6分で結んでいる。標高差は278m、途中には中間駅である不動前駅もあり、下車すると関東三大不動のひとつ、大山不動尊がある。ケーブルに併走して古来からの男坂、女坂の参道も残されている。
雨乞い信仰も残る大山の中腹(標高700m)に建つのが阿夫利(あふり)神社下社。阿夫利の名は雨降りに由来するともいわれている。江戸時代には大山詣での参詣客で大いににぎわいをみせた。江の島詣でと兼ねて、庶民は旅行感覚で大山阿夫利神社に参拝した。神社では引目(ひきめ)祭、筒粥(つつがゆ)祭、雨乞い、節分祭など、多くの神事が今も伝承されている。本社(石尊大権現)は大山山頂にあり、下社から天満宮の半開きの門をくぐり徒歩1時間30分。7月27日が例祭日。


