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【東京散歩】西早稲田でレトロを探す、の巻(12)早稲田大学〜ぷらんたん

早大通りに来ていながら早稲田大学を素通りするわけにはいくまい。ということで、立ち寄り。よそ者なのでちょっとドキドキしてしまうが、さすが早稲田、肩身の狭さは感じないオープンマインド。敷地も広いし、門も開け放たれているので、全然平気だった。正門前には大隈講堂(早稲田大学大隈記念講堂)がそびえたつ。



補修され生まれ変わった大隈講堂


あれ、なんか新しくなっているみたい。1927(昭和2)年の築造で、国の重要文化財にも指定されているが、創立125年の記念事業で内部を新しくしたよう。でもアーチ式の歩廊や時計塔、ステンドグラス、ゴシック様式の外観はそのまま。劇場として使えることを前提に作られていたんですね。さすが演劇にゆかりのある大学らしい。


さて、正門からいよいよ大学内部に突入。1851(嘉永4)年版の古地図『大久保戸山高田辺之図』(板元 近吾堂)によれば、このあたりは「井伊掃部頭 下」とある。掃部頭(かもんのかみ)つまり、あの井伊直弼の下屋敷だ。


1851(嘉永4)年といえば、井伊直弼が、彦根藩主となった翌年。14男の直弼は、人生の長きに渡たり、他家へ養子に入ることもままならず、家をもたない「部屋住み(厄介)」としての日々を過ごしていた。にもかかわらず、井伊家の家督を継ぎ藩主となった3男の兄、直亮(なおあき)の世子(世継ぎ)になった頃から人生急展開。

1850(嘉永3)年、36歳にして初めて、1ダースもいた兄弟を飛び越え、14男の直弼が、突然日の当たる場所へと駆り出されたわけだ。彦根藩35万石の主といえば、代々大老を出す、名門中の名門(歴代13人中6人を井伊家で占める)。いわば譜代筆頭。三十路のプーから、いきなり総理大臣になったくらいのギャップ。


ちなみに田畑をはさんでの隣人は、あの「一橋殿」の下屋敷(のちの徳川慶喜。敷地は現在の早稲田実業)。のちの敵がお隣同士だったわけだ。



演劇博物館と訴えかける早稲田の看板。演劇博物館では、毎週金・土・日の13:00〜16:00には、ボランティア解説員が常設展示の解説をしてくれるから、ぜひ


で、正門真向かいにデンと立つ創設者・大隈重信の銅像をはじめ、1925(大正14)年築造の旧図書館(現會津八一記念博物館)など、構内にはなかなかに立派な歴史的建造物があるわけだが、とりあえず見逃せないのが、演劇博物館(正式名:早稲田大学坪内博士記念演劇博物館)。ここだけが、周囲の建物とは明らかに異なる、時代がかった英国風の古い洋館なのである。


4号館と6号館の間に挟まれた形で残るこの建物は、1928(昭和3)年の築造。坪内逍遙(つぼうち しょうよう)の古稀(70歳)の祝いと、『シェークスピヤ全集』の翻訳完成を記念して建てられたもので、設計は今井兼次。彼は早稲田出身で教授も務めた人物で、母校の図書館(現會津八一記念博物館)をはじめ、安曇野の碌山(ろくざん)美術館も手がけている。


このハーフティンバー、左右シンメトリーな建物は、16世紀のエリザベス朝時代、イギリス・ロンドンにあった劇場「フォーチュン座」を模したもの。正面玄関に張り出すような形で舞台が設けられ、両翼の桟敷と前庭からその舞台を観賞できるという、「まるで劇場のような建物」ではなく、まさに「建物自体が劇場そのもの」なのだ。


漆喰にアーチの柱など、建物内部の装飾も見事で、1階はグローブ座の模型などを配したシェースクピアの舞台や、閲覧室。まるで映画のセットのような英国調の階段を登ると、2階には坪内逍遙の記念室や民俗芸能コーナーがある。


かの『小説神髄』でも知られる、近代日本文化の開拓者・坪内逍遙は、文学部創設や『早稲田文学』の創刊など、早稲田大学発展にも寄与した人物。


逍遥記念室は、彼が来館時に使用した貴賓室として造られたもので、著書や原稿、愛蔵品などを展示。漆喰天井には、彼の干支にちなんだ羊の装飾が施され、書棚や調度などから、小さいながらも雰囲気抜群。3階では、古代から現代までの日本の演劇資料が一堂に会する。衣装や写真、ポスターなど見応えたっぷりだった。

企画展も面白かったし、これで入館無料。太っ腹。


大隈庭園と大隈ガーデンハウスの学食メニュー、鶏ガーリック。カロリー表示もされており、白あえ、オクラ納豆など、町の定食屋のような小鉢、デザートや果物なんかも充実。平日はサラリーマンやご隠居さん。休日はご家族連れも来られます


で、その後は構内ぐるりとひとまわりして、大隈庭園へ。ここは大隈重信邸の跡で、江戸時代の庭園を改造したもの。和洋折衷どころか、韓国、中国の建造物もあったりで、のんびりできる。ただし入園時間が決まっていますので、ちょいとご注意を。しかもリーガロイヤル東京からも入れるので、一般の人もいてちょっと緊張感がゆるむ。


あ、でも平日はもちろん学生ばかりなんで、自分をちん入者的に感じるかも知れませんが、実は土曜日になると、雰囲気が一変。構内でも写真撮りまくりだし、キャンパスツアーもあるしで大にぎわい。社会人対象のオープンカレッジもやっているから、ウン十年前に学生さん卒業の方でも全然違和感なしです。


大隈庭園に隣接したカフェテリア(大隈ガーデンハウス)なんか、小さな子供を連れたファミリーが仲良く食べてますから。


グッズも関係者なら無料の学バスも、オール早稲田でござい。ノート250円とボールペン300円を使えば、あなたもなんちゃって早大生!?


その後、大隈庭園位置にあるUni.Shop&cafe125にて、元早稲田マンのおやぢ用にみやげ購入。えび茶と黒のレジメンタルタイから、Tシャツ、パーカー、はたまた今流行のエコバックまで、み〜んな早稲田カラーや〜。こんなのこっぱずかしくって今の自分にゃ使えないけど(学生時代はサークルでお揃いのジャンパー着て公衆の面前に出てたんだ。あー、恥ずかしい)。


若干疲れたのでここでひと休み。「学生街の喫茶店」といえば、もはや「ぷらんたん」しかあるまい。ということで、入店。吉永小百合やタモリも通ったという名店だ。


しかし、チェーンのコーヒーショップにおされるなどの要因で、当時の店主はこの店を売りに出していたという。それを12年前、脱サラしてコーヒー豆屋をやっていた、現店主の前田宏喜さんがたまたま見つけ、権利を買い取ったとか。実は前田さんも、早大OB。


ぷらんたんで学生気取り。自家焙煎の豆は販売も可能で、バリエーションは6、7種類。100g380円から


1950(昭和25)年の創業だから、今年で58年目。基本的に内装は当時のままで、1階には年季の入った焙煎機とカウンターが。OBは懐かしがって、早稲田で行事があるときなどは大挙して押し寄せるとか。が、広々とした2階では、学生さんの2人連れが2組。チェーン店よりよっぽどくつろげるのに……。


「僕らの頃は、待ち合わせといったら、喫茶店に入るしかなかった。けれど、今の子は群れないし、連絡も携帯。だから喫茶店は流行らないし、入ってもチェーンばっかりでしょ」と前田さん。「でも、今でも自分で豆を焙煎しているから、こうして店をやっていけるんです。喫茶店やりたくて買ったんだし、ご飯屋にはしたくないから」。店内に流れるBGMも、話の邪魔にならないようJAZZ中心。ご飯ものは置かず、ランチもナポリタンやシーフードなど、パスタ系のみ。しかもリーズナブル。


自家焙煎の勉強は、かれこれ8年やったという前田さん。週に1、2度は、自ら焙煎するというコーヒーを頂くと、さすがに旨い。ブラジルを中心に、モカなどを加えたオリジナルブレンドも、くせがなく飲みやすい。今年に入ってブレンドの値段を、320円から350円に上げたというが、それでも1杯350円は全然惜しくない。驚くほど静かなひとときが過ごせますよ!! 
(つづく)

※次は、またも深みにはまりそうな箱根山に登るゾ
本日の進捗状況、約800m。

早稲田大学坪内博士記念演劇博物館
10:00〜17:00(火・金は19:00まで)開館/閉館日についての詳細はHPで確認を/無料
TEL03-5286-1829

大隈庭園
授業期間中(4〜12月)の月・火・木・金・土の11:00〜16:00開園/閉園日についての詳細はHPで確認を/無料
TEL03-3203-4333(早稲田大学総務課)

大隈ガーデンハウス
2階は10:15〜15:00(土は14:00まで)、3階は11:15〜19:50(土は15:15まで)。ただし年末年始、夏季、春季休業期間中は、短縮営業/日曜、祝日休
TEL03-5273-8101

Uni.Shop&cafe125
9:00〜18:00/夏期、年末年始休あり
TEL03-5291-7491(ショップ)

早稲田大学
新宿区西早稲田1-6-1


35/42/20.821,139/43/26.572

ぷらんたん
11:30〜20:00/日曜、祝日休(ただし学校の行事がある場合、昼のみ営業)/新宿区戸塚町1-101-7
TEL03-3202-8333


35/42/16.054,139/43/23.618

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