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【ちょぴりDEEPなイタリア田舎旅行】vol.10 今さらポンペイ(Pompei)

200809050701.jpg今ポンペイ(Pompei)へ行くバスの中にいる。なぜ、ここにいるんだろう?自分でもよくわからない。なんだかすべてに腑に落ちないまま、このバスに乗り込んでしまった。せっかくバジリカータまで来ているのに、なんでわざわざポンペイに戻らねばならない?しかも、今さらポンペイ?

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もう行ったって、ポンペイ。


なぜかといえば、例のおばちゃんである。


昨日エステルと考古学博物館を見学した後、なんだか自分の意図していた日程とは、急激に違う方向に、事態が転がり始めていた。暑い日差しが照りつける中、なんだか自分の意図とは微妙に違うんだが……、と、ぼんやりと思い始めてはいたが、この時はまだ確信には至らず。しかし気づいた時には、時すでに遅し。


この怒濤の流れを、もはや止めることができなかった。今から考えれば、あの時、きっちりと断わらなかったがために、これから数日の方向性が、完全に決定づけられてしまっていたわけなのだが……。

エステルと別れて、部屋に戻ると、もう待ち構えていたかのように、おばちゃんが早速ノックしてきた(実は遺跡まで一緒に行ったが、英語がわからないので、途中でおばちゃんは脱落、先に帰宅していたのだった)。とにかくついて来いという。


とりあえず、シャワーだけでも浴びさせてよ、というのが精一杯。こっちは日中、ぐったりしているんだから。で、着いたところが、おばちゃんの3番目の姉の家(もう1番目の姉の家とお母さんの家には、到着日早々に挨拶済み)。


何かと思えば、明日ファミリーで、ポンペイに行くから、一緒に来ないかという。あまり気は進まないが、とにかくおばちゃんが大乗り気。皆と一緒に行きたくてしょうがなさそう。ヴェノーザ滞在中は、ここを拠点に、一応バリーレ(Barile)とラポッラ(Raplla)とメルフィ(Melfi)には行きたいので・・・と主張したら、そんなの明後日行けばいいじゃない、という。


ええーっ、日曜はそんなバスの便なんて、ないんじゃないの?(イタリアの田舎では、ほとんど日曜に田舎同士を結ぶバスの便はない。だから日曜は、観光するための移動日に使ってはいけない。安息日にしましょう。交通の便がないうえに、店も全部お休み。都市的機能はゼロになり、街は眠ったように静かなのだ)


そう疑問をぶつけると、私が車をもっている娘の友人に頼んであげるから大丈夫だ、という。ほんまかいな。まあ、これだけお世話になっているし、とにかくおばちゃん、自分が行きたくってしょうがないのが、もう全身からあふれ出している。


それで、あまり気乗りがしないまま、あいまいな返事をしてしまったら、おばちゃん狂喜乱舞。楽しみだねー。と、本当にあふれんばかりに嬉しそう。その子供のようにはしゃぐ姿を見て、まあ、これも経験か、と観念。


「断れない日本人」の典型ですね。


その後、ウキウキ気分の彼女の後について、なんとなーく暗い気分のまま、彼女の親戚一族郎党、友人まわりを、本当に、一体何軒したのだろうか?


炎天下のなか、チャリンコで。
午後から天気がくずれるという予報だから、なるべく観光を優先したいのに……。


しかし、突然引き合わされた相手だって、ものすごく変に思ったに違いない。ファミリーならまだしも、友人なんかはどう対応していいか、明らかに困惑しているもの。こちらにも伝わってきますよ、それは。


でも、彼女はそんな大人の思惑なんか、おかまいなし、へのかっぱ、なのである。この時点で、すべてが彼女のペースで進んでいるのが、もはや判明したわけだが、自分には、どうやらもうこの流れは、止められないようだ……。

そして、今日朝6時、ポンペイ行きのバスのなかにいる。


それにしても、どんだけしゃべるんだよ?この人たち。50人もいるから、一言でいってカオスである。全員が席に着くまで、どんだけ時間かかるんだよ。誰がどこに座るかなんて、私に聞くな、わかるかっ!!


朝6時だよ、6時。
朝ぐらい、少し静かに過ごしてほしいものである。


烏合の衆と化したまま、バスは出発。すると、もう隣で、持参のラジカセをガンガン鳴らすのである(50枚もCD持ち込んできているんですよ。日帰りのバス旅に。しかも遺跡見学をしている間も、その50枚のCD全部と、ラジカセを持ち歩いている上に、ばかでかいビデオを担いで撮影)。


すでに、車内のステレオが、早朝とは思えないほどの大音量で流れている上に、烏合の衆の甲高い声、その上、隣で持ち込みのラジカセを、これまた車内放送に負けじと、さらに音量を上げて、鳴らすのである。勘弁してくれよ、ホントに。


ところが、誰一人それを注意しない。そもそも、みんな自分たちのおしゃべりに夢中なのだから、人には無関心。だから、仕方なく私が、頼むから今だけは止めてくれ、とお願いする。じゃあ、いつになったらいいのか?と、おばちゃんが聞くもんだから、せめてあと1時間は静かにしておくれ、頭が痛いから、と重ねてお願いした。


するとおばちゃん、ちょっとしょんぼりしている。
ああ、なんか悪いことをしたかなぁ……。


彼女は一言でいうと、子供みたいに純粋なところがあって、人のために良かれ、と思ってしているのだが、何しろ、人のいうことを聞かない。


だから、すべて私のために良かれ、と思ってしてくれるのは、本当にありがたい話で、それは重々わかっているのだが、いくらはっきり、Noと言っても、結局最後は、すべて自分のテリトリーにもっていって、物事を解決してしまう人なのだった。


だから、Noと言っても言わなくても、結局、結果は一緒なのだった。トホホ。


しかし、その後も、この車中のカオスはおさまらなかった。ツアーの主催者が、話をしている最中だからと、別の人にたしなめられた甲高い声のおばはんが、逆切れして怒り出したりと、日本なら、本当にありえん状態が延々と続いた後、バスは、ようやくポンペイに到着したのだった(実は遠回りして、パドレ・ピオ関連の場所に寄っているので)。

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