文化審議会文化財分科会世界文化遺産特別委員会(第23回)が2011年9月1日(木)に開催され、世界遺産推薦候補についての議題が非公開で話し合われた。その結果、富士山と鎌倉を推薦することが本決まりとなった。世界遺産の推薦から登録への道のりは、文化審議会文化財分科会(文化庁の推薦決定)→世界遺産条約関係省庁連絡会議(政府の推薦決定)→推薦書(暫定版)を世界遺産委員会に提出(9月30日締め切り)→ICOMOSの審査→世界遺産委員会で審査・登録の可否を決定(2012年6月)というプロセス。
今回推薦された富士山、鎌倉はともに文化遺産の候補。「武家の古都・鎌倉」は、初めて造られた武家政権の都の構えと、そこで誕生した文化を伝える文化遺産群が対象。当初は「古都鎌倉の寺院・神社ほか」という名称だったが、これでは主旨が弱く登録否決の可能性があるということで、よりグローバルなテーマ「武家の古都」をメインに据えた。建長寺、円覚寺などの鎌倉五山や長谷寺、大仏、鶴岡八幡宮、亀ヶ谷坂、仮粧坂切通、朝夷奈切通などの切り通し、若宮大路(鎌倉時代の幹線道路)、永福寺跡などの寺社遺跡、和賀江嶋(日本に現存する最古の築港遺跡)とその対象文化財は広範。神奈川県ではこれらの世界遺産予定地を歩く6つのモデルコースも用意している。
富士山はかつて自然遺産を目ざしたが、ゴミ問題などが影響して国内の審査段階であえなく「落選」。今回は文化遺産として巻き返しを狙う。 「富士山」は山梨・静岡両県が文化庁に提出した推薦書原案によれば、「日本列島のほぼ中央に位置する富士山と、周辺の浅間神社御師住宅、霊地・巡礼地である風穴・溶岩樹型・湖沼・湧水、芸術作品の視点場(又は舞台)となった地点から構成される。富士山域の中には山頂の信仰遺跡や登山道などの重要な要素が含まれている。これらの構成資産が一体となった推薦資産「富士山」は、山に対する生きた文化的伝統の物証であり、数多くの芸術作品の題材として描かれた世界的にも著名な神聖で印象的な山の景観の見本である。」 とあり、富士山信仰=富士講の遺跡、登山道、忍野八海、三保松原、白糸ノ滝なども含まれる。
ちなみに世界遺産委員会は、各国から同委員会への推薦を年2件としている現在の制限に加え、通常の文化遺産候補は年1件以下とする数量制限を、2014年登録分から採用する方針を決めている。
現在、日本の暫定一覧表記載文化遺産(世界遺産の推薦を待機中)は、
「古都鎌倉の寺院・神社ほか」(神奈川県、平成4年)
「彦根城」(滋賀県、平成4年)
「富岡製糸場と絹産業遺産群」(群馬県、平成19年)
「富士山」(静岡県・山梨県、平成19年)
「飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群」(奈良県、平成19年)
「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」(長崎県、平成19年)
「国立西洋美術館(本館)」(東京都、平成 19年)
「北海道・北東北を中心とした縄文遺跡群」(北海道・青森県・岩手県・秋田県、平成21年)
「九州・山口の近代化産業遺産群」(福岡県・佐賀県・長崎県・熊本県・鹿児島県・山口県、平成21年)
「宗像・沖ノ島と関連遺産群」(福岡県、平成21年)
「金を中心とする佐渡鉱山の遺産群」(新潟県、平成22年)
「百舌鳥・古市古墳群」(大阪府、平成22年)